雪深い魚沼の山里に産まれました。記憶を遡ると、雪の中の白一色の中で、空から音もなく落ちてくる雪々々。
そんな中で女たちは、手あぶりの火鉢をかこんで針仕事。もう一方の傍らでは、手織りの機織機でカタンコトンと布を織る。
父に続く妹たち(叔母)の冬の光景だと思います。時代は過ぎて昭和50年、この土地に嫁ぎ、農家の暮らしがまた身近になり、農家とおかあさんたちが農業の傍ら十日町の出機を織っているのを見聞きするようになりました。一反一反織る度にその前後にわずかな余り切れを大切に副産物として手元に残して残して宝物と残していました。
更に年月は過ぎ、機織りはとっくに消えてしまいましたが、農家の女性たちがつつましく残した布は形見として私の手元にゾクゾクと集まって来ました。機織りの小さな残り切れ、しみだらけですがまだしつけのついた着物・本あいのなす紺のおむつ着物の帯、野良着、家を手伝いながらお針を習い、こつことと嫁入りの準備をした着物や帯、野良着は必要なくなっても捨てがたく、大切にしまわれ命の尽きるまで大切に持ちつづけたものです。大切な布を埋もれるままではなく身近な生活用品として新たに誕生させていけたらと思っています。
埋もれてしまったわら細工・竹細工とともに。